これは3C-likeプロテアーゼというコロナウィルスの酵素タンパク質です。このように全く同じ二つの蛋白質からできています。コロナウィルスは、ポリプロテイン1abという7096アミノ酸からなる非常に長いタンパク質を、まず、合成させます。そのあと、その長いタンパク質を切断して、15個のタンパク質にします。そのとき、タンパク質を切断する酵素の一つが、この3C-likeプロテアーゼです。ここに結合している黄色のひも状の分子が、切断されるポリプロテイン1abの一部です。7096アミノ酸から8アミノ酸(3259-3266番目)だけを切り出したものです。この5番目(3263番目)と6番目(3264番目)のアミノ酸の間で切断されます。このタンパク質は、治療薬の標的としても注目されています。例えば、この分子、阻害剤N3は、基質タンパク質が結合する場所に、じゃまをするように結合してしまいます。すると、タンパク質の切断ができなくなり、ウィルスが体内に広がることを止めることができます。同じように阻害剤ボセプレビルも、基質タンパク質の結合部位に結合し、タンパク質の切断をじゃますることができます。こうしたプロテアーゼの阻害剤は多くの製薬会社が開発を行っています。
もどる